データサイエンティストはプログラミングやAIを用いたデータ分析のスペシャリストとして年収が高くやりがいもある、魅力的な職業の一つです。
しかし一方で、データサイエンティストにはどうやったらなれるのか、必須のスキルは何かといったように、分からないことも多いのではないでしょうか?
ここではそんな疑問を持つ方のために、未経験でも文系でも社会人でもデータサイエンティストになれる方法や、活躍するために必須のスキルなどを解説します。
データサイエンティストに興味がある人は、必見ですよ!
そもそもデータサイエンティストとは|仕事内容や魅力
まずは、そもそもデータサイエンティストとはどのような職種なのか、仕事内容や魅力から確認してみましょう。
- 「データを収集・分析して課題解決の方法を提言する人」のこと
- データを学習させたAIも作れる
- 立案した仮説をデータ分析で検証
- 高い年収とやりがいのある仕事が魅力
データサイエンティストは企業の重要な意思決定を左右する、重要な職業の一つです。
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、統計や数学、AI、情報科学などの様々な分野の手法を用いて「大量のデータから有用な情報を引き出すアプローチや分析手法開発などを行う人」のことを言います。
例えば「気温が高いとアイスが売れる」のは誰でも直感的に分かる事象ですが、データサイエンティストは過去の大量な気象情報と販売情報から「因果関係を客観的に証明」することができます。
データサイエンティストがデータから引き出した有用な情報は「課題解決」や「意思決定の場面」で用いられ、その精度によっては企業の未来を変えることもできるため、今後より需要が増えるであろう職業の一つです。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストの仕事は、主に次の4ステップで行われます。
- 課題の選定・仮説の立案取り組むべき課題を明確にし、仮説を立てます
- データの収集収集環境の構築も含め、データ収集を行います
- データの分析統計を用いて「注目すべきデータ」を見つけ、仮説を検証します
- 課題解決に向けた提言分析結果や仮説の検証結果を分かりやすくまとめ、解決策を提言します
このようにデータサイエンティストは、課題に対して立てた仮説が大量のデータから見た時に正しいかを検証し、その結果をもとに解決策を提言するのが仕事です。
データサイエンティストの魅力
データサイエンティストの主な魅力は、次の通りです。
- 高い年収
- やりがいがある仕事
- モノ作りの面白さ
- 分析で気付く面白さ
データサイエンティストの一番の魅力は、「高い年収」です。
正社員の場合、データサイエンティストの全年齢平均は約700万円と、全体の年収平均443万円を大きく上回ります。
また、データサイエンティストが導き出した結論は、経営上の重要な課題や意思決定に用いられるため、仕事のやりがいも高い職種です。
さらに、データ収集のための環境構築はプログラミングも含めてモノ作りとしての楽しさがあります。
そして、データ分析の結果分かることは感覚と異なる意外なこともあり、気付く楽しさも魅力の一つです。
データサイエンティストに必須のスキルと資格
次に、データサイエンティストに必須のスキルと資格を確認してみましょう。
- データサイエンティストに必須のスキルは3つ
- 正しく効率的にデータ分析できる「データサイエンス力」
- データを収集・抽出・加工できる「データエンジニア力」
- 課題を整理し解決できる「ビジネス力」
- データサイエンティストに必要な資格はないが役立つ資格はある
データサイエンティストに必須のスキルについては、データサイエンティスト協会公表の「データサイエンティストに必要な3つのスキル領域」を参考にしています。
データサイエンス力
データサイエンティストに必要なスキルの一つ目は、「データサイエンス力」です。
データサイエンス力とは、簡単に言うと「収集した大量のデータを正しく効率的に分析できる力」のことです。
大量のデータを統計などの手法を用いて分析し、グラフなどで分かりやすく表現します。
また、AIを利用することで効率的に傾向を把握するとともに、より正確な予測を目指します。
なお、これらを行うためにプログラミング言語のPythonやRを利用します。
ちなみに、IPAによるとこの分野では「数理統計・多変量解析・データ可視化、機械学習・深層学習」について、データサイエンティストは高い実践力と専門性が必要とされています。
データエンジニア力
データサイエンティストに必要なスキルの二つ目は、「データエンジニア力」です。
データエンジニア力とは、簡単に言うと「データを収集・抽出・加工する力」のことです。
データを集めるにはデータベースの構築が必要です。
また、集めたデータを抽出するには、SQLなどのデータベース操作にかかわるスキルが求められます。
そして、集めた生データはノイズ・イレギュラー的なものも含まれ、知識を持って加工しないと正確な分析ができないため、専門性が高いです。
ちなみに、IPAによるとこの分野では「データ活用基盤設計、データ活用基盤実装・運用」について、データサイエンティストは高い実践力と専門性が必要とされています。
ビジネス力
データサイエンティストに必要なスキルの二つ目は、「ビジネス力」です。
ここでいうビジネス力とは、「取り組む課題の背景を理解し整理し解決できる力」のことです。
集めたデータは、その意味を理解できなければ仮説も立てられず活用もできません。
また、立てた仮説が立証された後で解決方法を提言するのにも、ビジネスというものをしっかりと理解していないと難しいでしょう。
さらに、データを学習させたAIをどのように使うか考えられる力も、この分野に含まれます。
ちなみに、IPAによるとこの分野では「データ理解・活用、データ・AI活用戦略、データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価」について、データサイエンティストは高い実践力と専門性が必要とされています。
データサイエンティストに役立つ資格
データサイエンティストは、必要なスキルを身に付けていればなることができ、データサイエンティストになるために必要な資格は「ありません」。
ただし、データサイエンティストとして活躍するのに「役立つ資格」はあり、次の通りです。
資格名 | 主催 | 概要 |
---|---|---|
統計検定® | 一般財団法人 統計質保証推進協会 | 統計に関する知識や活用力を証明する試験 |
データサイエンティスト検定™ | データサイエンティスト協会 | 実務能力と知識を有することを証明する試験 |
データスペシャリスト試験 | IPA | データベースの知識、スキルを証明する試験 |
G検定・E資格 | 一般社団法人日本ディープラーニング協会 | ディープラーニングの知識をビジネスで活用する能力、実装する力を証明する試験 |
また、例えばフリーランスでデータサイエンティストとして活躍する将来を描いている場合には、自分のスキルレベルを客観的に証明できるものとして有効です。
データサイエンティストに必要なスキルの身に付け方
データサイエンティストに必要なスキルは、どのようにして身に付けるとよいのでしょうか?
ここでは、スキルを身に付ける方法を確認します。
- スキルの身に付け方は主に3つ
- 専科のある大学で学ぶ
- コースのあるプログラミングスクールで学ぶ
- 書籍やサイトを活用し独学で学ぶ
様々な身に付け方がありますが、特徴やメリットに注目してみましょう。
大学に通う
データサイエンティストに必要なスキルは、「専科を持った大学に通う」ことで身に付けることができます。
全国には、データサイエンスを専門で学べる学部・学科がある大学があります。
例えば滋賀大学のデータサイエンス学部は、データサイエンスの専門知識やスキルといった理系的基礎をベースに、データから価値のある情報を取り出し意思決定に活かす能力を身に付けることができ、社会人でも学ぶことができます。
また、東京大学では数理やデータサイエンスの基礎的な知識や技術を習得できる「数理・データサイエンス教育プログラム」を実施しています。
さらに、慶應義塾大学や中央大学など、たくさんの大学にデータサイエンスを学べる学部・学科はあります。
スクールを利用する
プログラミングスクールの中には、データサイエンスを学べるコースのあるところがあります。
スクールのメリットは、次の通りです。
- 仕事をしながらでも学べる
- 比較的短期間でスキルを身に付けられる
- 分からないことをすぐに聞け、挫折しにくい
相応の費用は掛かってしまいますが、空き時間が少なかったりできるだけ早くデータサイエンティストになりたかったりする場合には、プログラミングスクールが有効です。
独学で学ぶ
データサイエンティストは必要な資格がないため、独学で学ぶこともできます。
独学で学ぶ場合には、前述の通り「データサイエンス力」、「データエンジニア力」、「ビジネス力」を、書籍やネット、アプリなどで学んでいきます。
ただし一つ一つのスキルで求められるレベルが高いため、独学でデータサイエンティストになるのは「かなり難しい」と言えるでしょう。
データサイエンティストになる方法|未経験/文系/社会人
最後に、データサイエンティストになる方法を、前項で解説したスキルの身に付け方を踏まえながら確認します。
- 未経験の場合は「プログラミングスクールを利用する」のがおすすめ
- 文系(学生)の場合は「大学で学ぶ」のがおすすめ
- 社会人の場合は「プログラミングスクールを利用する」のがおすすめ
状況によっておすすめするスキルの身に付け方は変わります。
未経験の場合
プログラミングや統計などを持たず、データサイエンティストにかかわる仕事を全く経験したことがない場合には、「大学で学ぶ」、「スクールを利用する」、「独学で学ぶ」といった選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットは、次の通りです。
おすすめ度 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
大学で学ぶ | ★★☆ | 余裕をもってじっくりと学べる | たくさんの時間と費用が掛かる 仕事との両立が難しい |
スクールを利用する | ★★★ | 短期間でスキルを身に付けられる 仕事をしながら学べる | 相応の費用が掛かる |
独学で学ぶ | ★☆☆ | 費用が安く収まる | 時間がかかり挫折しやすい 質問できない |
また、独学で学ぶのは費用が安くすみますが、一方で一つ一つの理解に時間がかかり、分からないところも質問できないので挫折しやすくなっています。
そのため、未経験の場合には総合的に見て「プログラミングスクールを利用する」のがよいでしょう。
文系(学生)の場合
現在大学生で文系の人がデータサイエンティストを目指す場合にも、やはり「大学で学ぶ」、「スクールを利用する」、「独学で学ぶ」といった選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットは、次の通りです。
おすすめ度 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
大学で学ぶ | ★★★ | 編入試験で大学や学部を変えられる | 試験対策が必要 |
スクールを利用する | ★★☆ | 基本的に誰でも学ぶことができる 短期間でスキルが身につく | 相応の費用が掛かる |
独学で学ぶ | ★☆☆ | 費用が安く収まる | 専門分野が違うため理解しづらい 時間がかかり挫折しやすい |
また、独学で学ぶのは専門分野が違うため理解がしづらく挫折しやすいでしょう。
一方で、大学で学ぶのは編入試験制度があるため、文系の方は大学で学ぶのがおすすめです。
社会人の場合
社会人でデータサイエンティストに必要なスキルを持たない人も、やはり「大学で学ぶ」、「スクールを利用する」、「独学で学ぶ」といった選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットは、次の通りです。
おすすめ度 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
大学で学ぶ | ★☆☆ | 時間をかけて学ぶことができる 仕事しながら学べる | たくさんの時間と費用が掛かる 仕事との両立が大変 |
スクールを利用する | ★★★ | 仕事をしながらでも隙間時間で学べる 短期間でスキルが身につく | 相応の費用が掛かる |
独学で学ぶ | ★☆☆ | 費用が安く収まる | 理解に時間がかかり挫折しやすい |
また、独学で学ぶのは費用を安く抑えられますが、限られた学習時間の中で理解に時間がかかるため、挫折しやすくなっています。
そのため、社会人からデータサイエンティストを目指す場合には「プログラミングスクールを利用する」のがおすすめです。
データサイエンティストになるには|まとめ
以上、データサイエンティストになるにはどうしたらいいのかを、必要なスキルやその身に付け方も含めて解説しました。
データサイエンティストは年収も将来性も高いので、未経験からでも挑戦してみたい職業です。
必要とされるスキルは高い実践力と専門性が求められるため簡単ではありませんが、大学やプログラミングスクールで学べば、挫折しにくい環境でスキルを身に付けることができます。
また、独学は難易度がかなり高いですが、費用を安く抑えられるメリットがあり、今ならばたくさんの書籍やサイトがあるので、決して不可能ではありません。
スキルの身に付け方を踏まえて自分に一番合った方法で、データサイエンティストを目指しましょう!